熟練、、、とは。。。

「熟練」とは、、、
と何とも重い感じのタイトルなんですが。。

そうですねえ、、僕はちなみに20歳の頃、ジュエリー原型師の弟子入り(トラック仕事しつつ授業料払って)して、3年後に大手のシルバーブランドを扱う会社に営業に行き、仕事をもらうようになって独立してから個人事業歴は20年ほどになります。

あれから現在に至るまで、さまざまな同業の職人さんと出会ってきました。

皆さん

良くも悪くも

、、、癖のある人ばかりです。
不景気のせいもあり、若くして根性の座った、本物の手に職を持つ、というイメージの職人とは出会った機会はあまりなく、、

やはり目上の方々相手の取引や酒の席がほとんどだった気がします。
そういう僕も42になり、、今もなお職人デザイナーとしての自分を探求し、磨き続けているところではあります。

仕事に限らずなんですが、新たなフィールドに上るときには「別れ」があるもの、、、
その別れとは、自分にとって、事業・会社にとって、そしてお客様にとっても、有益かどうか、、という若干クールな、冷たい言い方ですが
これ以上は、将来的にお互いにとっての発展が望めない相手とは、切らなければならない決断をする、、時がある。
人間は抱える器の大きさは決まっていて、当然そこに入る中身の量も決まっている。
溢れかえらないようにするには、新しい何かを手に入れるときは今ある中身の「無駄」なものを捨てなくてはならない。

その選択を、直感的に、経験的最善な決断をするのも、自身の将来の大きな分かれ道、になるのかなと思うのです。
僕はこれまでのところ、たくさんの取引先と口論にもなったりで決別もたくさんしてきました。
友人も知人もしかり、、、。
無論そこに後悔はありません。後ろを見ていたら、つまずいて転んでしまいますので。前方の足元をしっかり見ながら進まなければなりませんね★

自分を信じて歩むほかありません。
もちろん歩く道にはたくさんの障害もあれば、たくさんの道しるべとなる事物も多くあります。
その声には素直に耳を傾けながら自分を客観的に観察しながら、、進む。

さて、「熟練」とは。
神秘的な言い方で、答えはないのかもしれませんが、

失敗と成功を誰より積んできた経験を持ち、他人のアドバイスにも素直に聞き答えることで吸収する力を持ち、
それを仕事の中で現実的な力で発揮して、失敗などの障害を未然に防ぐ能力・スキルを持ったもの、、、

何て感じはどうでしょう?

・・・もう数年前に だいぶ目上の取引先(こちらが仕事を出していた立場)の70過ぎの職人さんがいましたが、
「不景気で仕事が少ないんだよ、昔はよかったんだけどなあ」、、が口癖でした。腕はいいので外注で出せていたのですが、
あるとき自分の物の仕上げを依頼したときに 思っていた仕上がりではなく、もう少し仕上げをしてほしい、、と丁寧に言ったところ、
「え~?何?あれで足りないの?じゃあ中村さん、商品と一緒におたくが仕上げたサンプル一緒に送ってよ!」
というので、それがいいか、と一緒に再仕上げ分と送りました。

結果、目が悪くなっただの言い訳した挙句 やり直すことになったんですが、。。。
そのうちに今までの工賃より明らかに高い請求書が来るようになり、確認したら
「今うちは仕事が少ないから材料費など考えたらその値段にするしかない」と言われました。

この日が、自分の中での致命的な「別れ=切る」決断となったときでした。
仕事がないからと、うちの依頼分にそれを載せられても、、、とんだ言い草だな、、と。
そんなのは自分の財布から相殺するものです。
生活費のためとか支払いのために うちから高額な請求をいただく、、としか聞こえませんでした。

「ほんとに今後もこのお値段設定なんですね?」と問いました。

「なんで?高い?じゃあいいですよ!安くしますよ!」
が答えでした。
「承知いたしました。」

それから数年たちますが 連絡はしていません。あっちから仕事を回してくれるようなことは10年以上の付き合いで一度もなかったので、
当然相手からも連絡はありません。

仕事やチャンスは向こうからやってくる、、、という考えなのかな、、と感じます。良き時代を生きた職人さん、、、

熟練とは、経験の年月の長さではなく、中身の濃さ

なのではないかな、、と。
僕が若いころからたくさんの会社や個人からお声をいただいたのも、若いからダメという目線ではなく、中村さんなら、という目線で見ていただいたからであって、職人歴の長さではありませんでした。
腕や物腰などの性格・本質で判断するところなのだと感じます。

。。。はい。職人でもなんでも仕事上で使う「熟練」
のお話でした(個人的意見です)

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